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2011年3月

2011年3月31日 (木)

放射線の易しい説明(その4)

(友人に宛てて軽い気持ちで書いてみたものです。 正直、軽くなくなってきたけど。)

以前は俺も、「みんな放射能について心配しすぎだよ」という意見だったんだけど、
今となっては無条件に安全だとは言えなくなってしまった。

その境目を説明するのはなかなか面倒だ。
実際のところ、危険と安全の境目なんかないからね。

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まず、放射線というのは、
原子炉から直接飛んでくるわけじゃない。

放射線の種類によるけど、
アルファ線なら空気中で10センチくらいで減速しちゃう。
エネルギーによっては1センチも飛ばずに止まる。
紙一枚で防げる。

ベータ線の正体は高速の電子だと前に話した。
軽いからアルファ線よりは遠くまで飛ぶ。
それでも空気中では数十メートルくらい。
アルミ板一枚で防げる。

ガンマ線は、・・・残念ながら空気中ではほとんど止まらんな。
光の一種だから。
X線が物体を透過するみたいに、
ガンマ線も物体を簡単に通り抜けてしまう。
防ぐには10センチくらいの鉛の板くらい用意しないと。

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でも防ごうとするよりも、
なるべく遠くへ離れた方がいいんだ。

光が広がるのと同じように、
離れるほど影響力は急激に薄まるから。

発生源から離れるほど影響は少なくて済む。

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ただ、今回の事故の場合、
放射線を出す物質そのものが漏れてるから、
こっちまで漂ってきて、そこいらで放射線を出すんだよね。
こんなのよけられないよ。

まわりじゅうの空気が、土が、放射線の源だってわけ。

でも、一発でも受けたらオシマイってわけじゃないから落ち着いて。

というか、今だって、いや、昔から、1秒ごとに何発も体に受けてるから。
そうだなぁ、イメージとしては、小雨に当たるみたいに。

今ネットで軽く調べてみたらもっと多かったわ。
自然の状態で、一日に10億発以上だってさ。

そんなに多かったかしら?
あとで計算し直してみないとな。
知識とイメージが一致してない悪い例やね。
反省せねば。
俺の認識もその程度だってことよ。

・・・。

ははあん、体内のカリウムの一部が放射線の源なんだねぇ。
それだけでも1秒ごとに全身に3000発だって。

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トラックが真っ黒な煙を吐いて行くことがある。
あれを吸ったら絶対に健康に悪そうだと思うけれども、
空気に混じって広がって、薄まってやがて見えなくなる。

あれは消えてなくなったわけじゃない。

原子炉から出た物質も、薄く広がって、
やがて気にならないくらいになる。
広がれば広がるほど。

残念ながら発電所の近くでは
もう避難しなくてはならないレベルになってしまっているけれども。

避難指示の出ている範囲の外側ではまだ大丈夫。
普段とほとんど変わらない。

いや、ほんのちょっと多い。
ちょっと待てよ・・・。
ふむ、明らかに分かるほど多いな。

大丈夫かしら? どう解釈したらいいんだ?

ちょっと待っててよ・・・調べてみる。

・・・なるほど。

発がんの危険が出るレベルじゃないな。

普段が 0.1 (マイクロシーベルト毎時)くらいだって。
どうやらそれが、5くらいを超えないように避難をさせられてるみたい。

もし10を超える値を1年続けて浴び続けると、
発がんのリスクが0.5%上がるんだって。

日本人の二人にひとりがガンになるのが現状だから、
50%→50.5 % に上がりますよ、という感じだって。

俺的には問題ないな。

<追記 2011/04/14>
ここの確率の考え方は安易すぎて、
実際に起きるだろうことを正しく表せていないとの指摘がありました。
近いうちにそれをまとめた記事を書くつもりでいます。
<ここまで>

発電所からの飛散が終われば、次第に放射線を出し終わって数値が下がるだろうから、
長期的にはもっと心配ない。

だけど事故はまだ続いてるという認識でいる。
気をつけて見ていかないと。

それと、さっきの
普段から受けてる放射線の数のイメージ、合ってるかどうか、
もう一回計算して確認してみるわ。

(つづく)

2011年3月28日 (月)

放射線の易しい説明(その3)

(友人に宛てて軽い気持ちで書いてみたものです。)


最近のテレビのニュース番組を見てると、
ベクレルとか、シーベルトとか、
聞き慣れない用語ばかりで不安になるよね。

ひょっとしてテレビ局は、
観てる人たちを怖がらせようと企んでるんじゃないかと
疑いたくなっちゃうくらいだ。

だけど多分それは間違い。

テレビで専門家に質問しながら喋ってる人たちは、
自分たちもよく分からなくて、本気で怖がってるんじゃないのかな。

数字ばかりが繰り返し出てくるけれども、
その意味、本当に分かって言ってんのかな、と感じることもある。
だって、単位を間違ってることもあるし。

でも専門家たちはそんなに怖がっちゃいない様子だ。
別に、他人事だから冷静でいられる、ってわけじゃないんだ。

あの番組構成で、
スタジオに漂う「恐怖感」以外のものが正しくみんなに伝わってんのかなぁ?
とっても疑わしいよ。


正直に言えば、今回の事故では俺も不安を感じてる。

俺が不安に思ってるのは、放射線量の数値の方じゃなくて、
この国のリーダーたち、電力会社の上役、マスコミの上層部が、
この事態を正確に把握できてないんじゃないかなぁ、と
思えてしまうところだ。

もう少しうまくまとめて伝えようよ?と思う。

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放射能って言葉は、みんな、間違って使ってる。

放射能という、謎の怖い物質があるわけじゃない。

本当のところは「放射-能力」を略して「放射能」なんだ。

「この物質には放射能がある」という使い方をするのが本当。
これは「この物質には放射線を出す能力がありますよ」という意味だ。

よく分からない?

今度から、「放射能」って言葉を聞いたら、
そっくりそのまま「放射線を出す性質」って言葉に置き換えてみよう。
それでおかしかったら、その使い方はきっと間違ってる。


例えば「放射能が来る!」って言われたら、
「放射線を出す性質が来る!」って感じに置き換わるだろ?
うん、変だ。 この使い方は間違ってる。

だから俺はここまで「放射能」って言葉を一度も使ってないだろ?

恐れる相手は放射能じゃない。 放射線だ。

放射線は正体が分かっている。

アルファ線と、ベータ線と、ガンマ線があるんだったね。

その性質を知れば、むやみに恐れなくてもいいんだ。
だけど、時には逃げることも必要だよ。

今回は人体への影響を話す予定だったけど、
もう少し待ってほしい。
今、色々と細かい部分を調べている。
間違ったことを書くのはなるべく減らしたいから。

それに今日は色々余計なことを話しすぎた。

(つづく)

2011年3月27日 (日)

放射線の易しい説明(その2)

(友人に宛てて軽い気持ちで書いてみたものです。)


前の続き。

100年くらい前、
放射線の正体を研究しているうちに色んなことが分かってきた。


原子というのは、それ以上分解できないものだと信じられていたけれど、
どうやらそれは間違っていたらしい、ということとか。


原子には種類によって不安定なものがあって、
そういう原子は時々放射線を出して、他の種類の原子に変わるんである。

そうしてうまい具合に安定な種類の原子になってしまえば、
それ以上は放射線を出さない。


逆に言えば、安定な種類になるまでは、
放射線を出しながら、そのたびに次々と種類が変わっていくのである。


ってことは、時間が経ちさえすれば、
どの原子もいつかは安定になるでしょう、ってこと。

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ところが、安定になるまでにどれだけの時間を待ったら良いか、というと、色々だ。

何億年もかかる種類もあれば、1秒もかからない種類もある。
数時間、数日、数ヶ月、数年、・・・色々だ。


え? 何億年も放射線を出し続けるやつもあるの?
そりゃ危険だねぇ。


いや、そうなんだけど、それだけゆっくり、少しずつ放射線を出すということ。

どっちがいい?
少ーしずつだけどいつまでも出し続ける物質と、
一瞬でドバーッと強烈に出して終わる物質。

どっちもそれなりにやっかいだ。

人件費を考えると、一瞬でドバーッと、の方が楽かなぁ。
それを全部、体に受けてしまうとかなり危ないけれど、
放射線が収まるまでの短い時間だけ、
分厚い箱かなんかに入れて厳重に保管しておけば何とかなりそうだしね。


そういう不安定な物質は身の回りにも沢山あって・・・、
土の中とか、木とか、コンクリートとか、岩とか。
人間は常日頃、あちこちから放射線を受けてる。


放射線は宇宙からも降り注いでる。
大気の層が守ってくれてるけれど、幾らかは届くことがある。
ジェット機に乗ると、空気の薄いところを飛ぶから、
かなりの放射線を浴びるよね。

実は人間の体からも放射線はいつも出てる。
人間だけがキレイだと思ったら大間違いさ!

ラドン温泉とか、ラジウム温泉とか、実はすごい量なのよ。
だけど、健康にいいとか言って、みんな利用してる。
だから、少々の放射線を浴びるのは本当は体にいいのかも知れない。

だから放射線を悪いやつだと決めつけて、
過度に恐れることはないんだ。
それは昔からずっと身の回りにある。

浴びたらアウト、じゃない。
浴びる量が問題だ。


次は人体への影響についても少しだけ書いてみようか。
人間はどこまで耐えられるのか?
自分も詳しくはないのだけれど。

(つづく)

放射線の易しい説明(その1)

友人に宛てて放射線について書いてみた。

どうせ公開するもんじゃないやと思って、
てきとーな気持ちで、読みやすさ重視で書いてみた。

友人は興味がないかも知れないし、
もったいない感じがしたので公開することにした。

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100年くらいの昔。
物質から出ている正体不明の光を
「放射線」って呼んだんだ。

それは本当に光みたいな感じだった。
でも目に見えない。

放射線を強く出す物質もあれば、
弱く出す物質もあるし、出さない物質もある。

目に見えないっていっても、
赤外線や紫外線だって目に見えない。

でも赤外線や紫外線の正体は割と早いうちに分かったんだ。

X線ってやつも同じ頃に見つかって正体不明だったけど、
しばらくして赤外線や紫外線と同じ仲間だということが分かった。

赤外線は目に見える光よりも周波数の低い、エネルギーの弱い光。
紫外線は目に見える光よりも周波数の高い、エネルギーの高い光。
X線は、紫外線よりもさらに周波数の高い、強烈なエネルギーの光。

じゃあ、放射線って何なのさ?

調べていくと、一種類じゃないぞ、と分かってきた。
だから、アルファ線、ベータ線、ガンマ線って名前を仮に付けて分類した。
その仮の名前が今でも使われてるってワケ。

ガンマ線は、X線よりも強い光の粒だと分かった。
ベータ線は、電子が勢い良く飛び出してきてるのだと分かった。
アルファ線は、
原子の中心にある原子核って部分から、
その一部が勢い良く吐き出されてきているのだと分かった。

なぜそんなことが起こるんだろう?

こいつらは、どれも、原子の中心、原子核って部分から
飛び出してきていることが分かってきた。

(つづく)

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