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2011年4月 3日 (日)

ベクレルとシーベルト

福島原発の事故の件では次々と状況が変わって新しいことが出てくるので、
一体、何について書けば役に立てるのかと迷ってしまう。

しかし私が知っていることと
調べて分かったことを少しずつ書いていくしかないのだろう。

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放射線の量を表す単位は色々ある。

昔勉強したときには「なぜこんなにもあるのか」と嫌になったくらいだ。
しかも身近に使うことがないものだから頭にも入ってゆかない。

今回の事故で、本当に身近に感じるようになったし、
それぞれの単位の違いもはっきり分かるようになった。

とりあえず今回は、
「ベクレル」と「シーベルト」を説明すればいいだろう。

そのためには「グレイ」の説明を経由することが必要なんだけど。

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「ベクレル」は、1秒間に出てくる放射線の個数を表す単位だ。

一個の原子核がはじけて別の種類の原子核に変わるたびに、
一発の放射線が飛び出す。

ガンマ線が飛び出すときには原子核の種類は変わらないので、
今の表現には少々正しくない部分があるのだけれども。

1秒間に何個の原子核が「はじける」か。
同じことだが、1秒間で何発の放射線が飛び出すか、を表している。


しかしこれは定義は簡単だけれども、曖昧な単位だと思わないかな?

だって物質の量が多ければ多いほど、
はじける量も多いわけで、ベクレルの値はその分大きくなるわけだ。

それに物質の種類がはっきりしていなければ、
どんな放射線がどれだけのエネルギーで飛び出してきているのかの情報もない。

物質の種類によって、
飛び出してくる放射線の種類もエネルギーもだいたい決まっていて、
それぞれに大きく違っているのである。


だから、報道でベクレルという単位が使われるのは、
放射線の原因となっている物質の種類がだいたい特定されているときである。

「プルトニウム1kgあたり〇〇ベクレル」だとか、
「土壌1平方メートルあたり〇〇ベクレル」だとか、そんな表現になる。

範囲や量、放射線源の種類を特定しないことにはあまり意味のない量だ。


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では他の方法を使って放射線の量を数値化することを考えよう。

放射線源の種類によって出てくるエネルギーが違うのだから、
複数の放射性物質があるときには
合計の個数はあまりアテにならない。

その影響力を測りたければ、
放射線から受けるエネルギーの量を測ればいい。
放射性物質が「出す」エネルギーの量の方じゃなくて「受ける」量だ。

ガンマ線などは、あまりエネルギーを与えずに物体を通り抜けるわけだから、
少なめにカウントされることになる。
しかし影響力を測りたいのだからそれでもいいだろう。

しかしこれにも問題がある。

放射線を受ける物体をたくさん置いておけば、
その分、たくさんの放射線を浴びるわけだから、
合計のエネルギーはその分だけ大きくカウントされることになるではないか。

だから、物体 1 kg ごとに受けるエネルギーを使うことにしよう。

これを「グレイ」という単位で表す。

グレイという単位は、ベクレルと違って「1秒間」の量ではない。
受けたエネルギーの合計値だ。


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「シーベルト」はこのグレイとよく似ている。

残念ながら、グレイでは人間の健康にもたらす影響を
あまりうまく表すことができないのである。

もし同じエネルギーであっても
粒子の種類によって、体への影響力が異なるためだ。

そこで、
「もしアルファ線が当たったなら、影響力が20倍ということで計算しよう」
「ベータ線やガンマ線ならグレイと同じで計算」
という感じに「グレイ」の値を人間への影響に合わせて計算し直して表すことにした。

これが「シーベルト」だ。

純粋に物理学的な意味の量ではなくて、
医療系の経験を元にして決められた量だと言える。


正確に測ろうと思ったら、
その場にある放射線の種類とそれぞれのエネルギーを別々に分析して
計算で求めることになるのだろう。

しかし毎回そのような面倒なことをしなくても、
おおよそ正しい値を示す装置が工夫されているのだと思う。

いや、待てよ・・・?
放射線の種類が特定された状況で使うのが普通だから
測定装置の内部ではそんなにややこしい分析はしていないのかも。

(調査中)

ああ、そうか。
簡単な線量計ではどうやらガンマ線のみを測定しているようだ。
アルファ線やベータ線は、防護服で簡単に防げるから、
作業員の人体への影響は
ガンマ線のみに注目してればいいということらしい。


長くなったので、今回はとりあえず、これくらいで終わることにしよう。
シーベルトの使い方には注意が必要なんだ。
それを次回で説明しよう。

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基礎の解説」カテゴリの記事

コメント

早速にお答え頂き、ありがとうございます。シーベルトは非常に便宜的に使われる単位なのかな、という印象を受けました。次回の記事を楽しみにしています。

http://toofuya.blogspot.com/
ここのグラフの解説お願いします。

あと水素爆発を起こし放射性物質を撒き散らすというは危機は去ったのでしょうか、解説お願いします。

コメントに返事書こうと思ってモタモタしてる間に、
今日のニュースで再度の水素爆発の可能性が話題になってますね。
容器内部の圧力も上がったり下がったりしてますし、
まだまだ事故の真っ最中という感じで安心はできないと思います。

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